低血糖

 低血糖とは一般的に血糖値が50mg/dl程度以下の状態をいい、経口血糖降下薬を服用している方やインスリン注射をしている患者さんで起こる可能性があります。低血糖は放置すると危険ですが、正しく処置をすれば心配のいらないものです。

1 低血糖の症状

 血糖値が低下しすぎると、強い異常な空腹感、力の抜けた感じ、発汗、手足のふるえ、目のちらつきなどが起こったり、また頭痛がしたり、ぼんやりしたり、ふらついたり、いつもと違ったような異常な言動をとることもあります。これらのさまざまな低血糖症状は人によって出方が違います。ただ、患者さんお一人お一人で、その症状のパターンがだいたい決まっているので、自分はどのような症状が起こりやすいか知っておくことが重要です。通常、空腹時におこり、食物を食べるとすぐよくなるのが特徴です。ただ、放置するとけいれんを起こしたり、意識を失うこともあり危険です。したがって、もし起こったら、軽いうちに治してしまわなければなりません。

 なお、低血糖になっていることを本人が気づかないこともあるので、家族やまわりの方も一緒に注意しましょう。

2 低血糖の予防

1)飲み薬やインスリンの量や種類は主治医の指導を正しく守りましょう。

2)食事を遅らせたり、減らしたり、抜いたりしないように、食事療法はきちんと守りましょう。アルコール、激しい運動、下痢などは低血糖を起こしやすいので注意しましょう。食事が取れないときは、主治医に連絡し、指示を受けてください。

3)鎮痛解熱薬などは経口血糖降下薬と一緒に飲むと、低血糖を起こしやすくします。別の薬を飲むときには、主治医に相談してください。他の医師に何か薬を処方してもらうときには、糖尿病の薬を飲んでいることを申し出てください。

3 低血糖が起こったら

1)低血糖になっても、軽いうちは糖質を取るとすぐ治ります。いつも、袋入りの砂糖を持ち歩き、低血糖症状を感じたら、すぐ砂糖10-20g(あるいは缶ジュース1/2-1本)を取りましょう。(アメやキャラメルなどはとけるのに時間がかかるので不向きです)安静にしていればふつう15-20分で症状がおさまります。なお、αグルコシダーゼ阻害薬を服用している方は砂糖をのんでも血糖が上昇しませんので、主治医からブドウ糖入りの袋をもらっておき、低血糖時にはブドウ糖を取るようにしてください。

2)十分注意していても、様々な原因が重なり、ときには意識を失うような強い低血糖が起こらないとも限りません。「自分は糖尿病である」ことを書いたカードや糖尿病手帳をいつも身につけておき、すぐに治療が受けられるようにしておきましょう。

3)低血糖が起きたら、必ず早めに主治医に報告してください。

4 その他

 高いところでの作業や自動車の運転など危険を伴う作業をしているときに、低血糖になると事故につながります。十分注意してください。

 

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