カルシウムで月経前の体調不調が軽減 (1998年9月)

 
 
  米国の複数の病院の共同研究の結果、カルシウムの摂取が月経前の体調不調に有効であることが分かりました。(American Journal of Obstetrics and Gynecology 1998年8月)


   全米12病院で、常に月経前のいらいら、うつ状態や下腹部痛などを訴える合計466人の女性(18-45歳)を対象に研究が行われました。半数の方にカルシウムを毎日1200mg、3か月間服用してもらった結果、カルシウムを服用したグループではこれらの月経前症状が48%低下しました。症状別には、うつ症状が45%軽減し、下腹部痛が54%軽減したとのことです。しかし、カルシウムがなぜ有効であるかについては分かっていません。


   月経前の体調不調は月経前症候群や月経前緊張症などと呼ばれ、 20歳代に始まり年齢とともに増加していきます。月経前症候群の多くの患者さんは月経困難症(生理痛)を伴いますが、月経困難症は年齢とともに軽減することが多いようです。今回の研究は月経前症候群にカルシウムの摂取が有効であることを示唆したものです。月経前症候群のいらいらやうつ状態が、副甲状腺機能低下症などで認められる低カルシウム血症時の症状と類似しているためにこの研究がはじめられたようです。月経前期(黄体期)に体内のカルシウムが明らかに低下するという知見はありませんが、今回の結果は興味深いものと考えられます。この研究結果の再確認、および、なぜカルシウムが月経前症候群に有効であるのかに関する研究が待たれます。

 

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