血圧降下薬で痴呆予防 (1998年11月)

  ヨーロッパ19カ国が参加した研究の結果、収縮期血圧だけ高い場合でも、降圧薬で高血圧を治療すると痴呆の発生を減らせることが分かりました(The Lancet 98年10月24日号)。


  収縮期血圧が160-219 mmHgの間で、拡張期血圧は95mmHg以下の60歳以上の対象者2418人を、無作為に、薬物(カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、利尿薬)を投与するグループと投与しないグループに分け、平均2年間経過を観察しました。その結果、降圧薬(カルシウム拮抗薬)を服用したグループでは痴呆の発生率が半分に低下したということです。服薬しなかったグループでは1年間に1000人中7.7人が痴呆となりましたが、服薬していたグループでは3.8人でした。血圧は薬を服用したグループで服薬しなかったグループに比べ収縮期血圧(最大血圧)が平均8.3mmHg、拡張期血圧(最小血圧)が3.8mmHg低下していました。この結果から、計算上、1000人の高血圧患者さんを治療すると5年間で19人の痴呆が予防できることになるとのことです。


  痴呆は脳の動脈硬化や小さな脳梗塞に由来する脳血管性痴呆とアルツハイマー型痴呆に大別されます。薬物で血圧を下げると痴呆が減少するのは、脳血管性痴呆が減少するためと考えられますが、今回の研究ではアルツハイマー型痴呆も減少したとのことです。。

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