老年医学の進歩

アメリカ老年医学会雑誌の編集委員であるテネシー大学予防医学講座のPahor博士とApplegate博士による総説です。過去2年間の主要な論文がまとめられており、「健康倶楽部」の読者の皆様にも興味深いものと考えられますのでご紹介します。

British Medical Journal No. 7115 Volume 315 (http://www.bmj.com/bmj/archive/7115/7115cr.htm)


アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬の投与によりAlzheimer病、乳癌、大腸癌などのリスクが減少することが報告されています。また、脳梗塞発症直後にアスピリンを投与するとその後の死亡や脳梗塞再発に対して予防効果があると報告されています。抗炎症薬のこれらの効果は抗血小板作用によるものだけではなく、抗炎症作用も重要な役割を果たしていると考えられ、炎症が動脈硬化や心機能低下などさまざまな病的状態に関与していると考えられています。投与に際しては、高齢者は抗炎症薬の副作用(急性腎不全、消化管穿孔、消化管出血など)が出やすいため、注意が必要です。

生体内物質の酸化が老化現象に関与していると考えられ、抗酸化作用を持つビタミンEの投与により、Alzheimer病の予後を改善したり、心筋梗塞患者の死亡率を低下させたり、