コレステロール低下薬で骨粗鬆症が改善 !?  (2000年7月)

 現在もっともよく使用されているコレステロール低下薬であるスタチン系の薬を服用すると、骨折しにくくなるらしいということが分かりました。



 動物実験でスタチン系のコレステロール低下薬が骨量を増加させるということが1999年に発見されました。その知識を元に、今回、過去にスタチン系の薬を服用した人のデータを骨折という観点から見直した論文が二つ同時に報告されました。Journal of American Medical Association

 一つの研究はイギリスで行われたもので、50歳以上の約9万人を対象としたものです。スタチン系薬剤の服用者は全身あらゆるところの骨折の頻度がこの薬を服用していない人に比べ55%に低下していたとのことです。特に大腿骨頸部や脊椎など骨粗鬆症による骨折が起こりやすい場所では、骨折の頻度が20%以下にまで低下していたとのことです。
 もう一つの研究はアメリカのニュージャージー州の住民を対象にしたものです。65歳以上の約6000人を対象に調査したところ、スタチン系の薬物を服用している人は大腿骨頸部の骨折頻度が29%にまで低下していたとのことです。どちらの調査でも、スタチン系以外のコレステロール低下薬には骨折を減らす作用は認められず、スタチン系の薬の効果はコレステロール低下作用の結果とは考えられないとのことです。



 現在、スタチン系薬の骨増強作用が間違いのないものかどうか、さらに確認する研究が行われています。正式な結論が出るまでは静観した方が賢明でしょう。

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