心筋梗塞の予防 2007年1月14日)

 

 

米国糖尿病学会と米国心臓病学会が共同で糖尿病患者における心血管疾患の予防法に関し声明を発表しました。

Circulation 2007年第1号、Diabetes Care 2007年第1号)

 

糖尿病患者は非糖尿病者に比し23倍の高頻度で心筋梗塞を発症することが分かっています。今回、米国の糖尿病学会と心臓病学会が共同で糖尿病症例における心血管疾患(狭心症・心筋梗塞)の予防法を発表しました。この予防法はまだ心血管疾患を発症していない症例に適応されるもので、すでに心筋梗塞などを発症してしまった患者さんにはさらに厳しい基準が適用されます。

なお、この予防法は糖尿病でない方にもそのまま当てはまることが今回の声明にも明記されています。糖尿病の患者さんは、特に心筋梗塞を発症しやすいために、注意が必要なのです。

 

 

食事

総エネルギーや脂肪(総エネルギーの30%未満にする)の過剰摂取を控えること、日常的に運動すること、定期的に受診することなどにより、血圧低下とともに、5〜7%の体重減少が可能である。LDLコレステロールを低下させるために飽和脂肪酸(動物性脂肪)を制限する、コレステロール摂取量を200mg/日以下(鶏卵1日おきに1個程度)にする、また、トランス不飽和脂肪酸(マーガリン、ファーストフードの油)を控える。標準体重に近づくよう総エネルギーを調整する。脂肪摂取は総エネルギーの2535%となるようにする。食物繊維を十分に摂取する。アルコールはビールなら350ml程度(男性は700ml程度)までにする。但し、肥満者、中性脂肪が高い人はなるべくアルコールを飲まないようにする。塩分は6g/日以下にする。

 

運動

週に150分以上の中程度の運動(あるいは週に90分以上の激しい有酸素運動)を行う。連続して2日以上運動しない日を作らないようにする。

 

血圧

血圧は130/80mmHg未満に維持する。130139/8089mmHgの人は生活習慣の改善により、最長でも3ヶ月以内に、130/80mmHg未満にならなければ降圧薬を開始する。140/90mmHg以上の人は直ちに降圧薬を開始する。降圧薬はアンギオテンシン系を阻害する薬物から始める。一般的に、130/80mmHg未満を達成するためには2種類以上の降圧薬が必要となる。

 

コレステロール

40歳以上の糖尿病患者で喫煙、高血圧、低HDL血症、血縁者が中年期で狭心症や心筋梗塞を発症している場合のうちいずれかが当てはまる場合には、LDLコレステロールを100mg/dl未満にする。LDL低下薬を服用すると一般的にLDLコレステロールを3040%低下させることができる。場合によって、はLDLコレステロールが100mg/dl未満の場合でもLDL低下薬を投与する。(コレステロールに関して、わが国のガイドラインでは、心臓病を発症していない糖尿病患者は一般的にLDLコレステロールの目標は120 mg/dl未満とされています。)中性脂肪は150mg/dl未満、HDLコレステロールは40mg/dl以上(女性はなるべく50mg/dl以上をめざす)が目標。

 

たばこ

たばこは全員がやめること。必要に応じ禁煙治療(ニコチン依存症の治療)を受けること。

 

抗血小板薬

40歳以上の糖尿病患者は全員、また、2140歳の場合でも喫煙、高血圧、心筋梗塞の家族歴、コレステロールや中性脂肪の異常、尿蛋白陽性のいずれかが当てはまる場合には少量のアスピリンの服用が推奨される。(わが国では予防的にアスピリンを服用することに対しては、現時点では健康保険が適用されません。)

 

HbA1c

HbA1cの目標は6%未満とする。

 

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