悪玉コレステロール低下のメリット (2004年3月)

 

わが国を含む数多くの重要な臨床研究により、スタチン系のコレステロール低下薬は心筋梗塞発症率やその死亡率を低下させることが証明されています。今回、実際に冠状動脈に狭窄を認める患者さんのグループに2種類のスタチン系薬剤を投与しLDL(悪玉)コレステロール低下度と冠状動脈の動脈硬化進展度にどのような関係があるかが検討されました。米国の34ヶ所の医療機関が参加した共同研究です。(米国医師会医学雑誌2004年3月3日号)

 

研究開始時に平均LDLコレステロールが150mg/dlであり、心臓カテーテル検査で冠状動脈狭窄が認められた657人(30〜75歳)を無作為に二分し、1群には強力なコレステロール低下薬(A)を、他群には中程度のコレステロール低下薬(P)を18ヶ月間投与し、血液検査とカテーテル検査を再度行いました。強力治療群(A)ではLDLコレステロールは79mg/dlまで低下し、冠状動脈の動脈硬化には進行が認められませんでしたが、中程度治療群(P)ではLDLコレステロールが110mg/dlまでしか低下せず、動脈硬化も若干進行してしまったとのことです。

 

この研究は比較的短期間のものですが、2群間の動脈硬化進展度に明らかな差が認められました。この差が単にLDLコレステロール低下度の差によるものか、あるいは、その他の薬物作用の差によるものであるかは明らかではありません。現時点では、日米欧とも冠状動脈に狭窄を認める症例ではLDLコレステロールを100以下に抑えるようにガイドラインで勧告されています。今回の研究でLDLコレスレロール低下度が重要であるとすると、このような症例ではLDLコレステロールをさらに低下させる必要があるかもしれません。

 

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