コレステロール低下薬による脳梗塞・心筋梗塞の予防(2003年5月)

 

スタチン系のコレステロール低下薬が心筋梗塞や脳梗塞の予防効果をもつことはわが国を含む世界中の国々で証明されています。今回、コレステロールの高くない高血圧患者にスタチン系のコレステロール低下薬を投与した場合どのような効果が得られるかにつき、英国および北欧諸国での研究結果が報告されました(The Lancet 2003/04/05)。

年齢40〜79歳、平均血圧164/95 mmHg、平均総コレステロール213 mg/dl、LDL(悪玉)コレステロール131 mg/dl、HDL(善玉)コレステロール50 mg/dlである対象者約10000人を無作為に二分し、片方にはスタチン系の薬(アトロバスタチン)を、残りには何も投与せず経過を観察しました。もちろん、全員高血圧患者ですから降圧薬を服用しました。服用開始から平均3.3年後の時点で、アトロバスタチン服用グループで心筋梗塞の発症が37%低下、脳梗塞の発症が27%低下することが分かり、研究を途中で中止し、全員にアトロバスタチンを投与することにしたとのことです。当初、研究は5年以上続ける予定であったとのこと。

コレステロールが高くなくても、高血圧、喫煙、糖尿病など心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高い方はスタチン系のコレステロール低下薬を服用したほうが良いかもしれません。なお、日本動脈硬化学会は、糖尿病患者ではLDLコレステロールを120未満に、心筋梗塞の既往者では100未満に下げるよう勧告しています。

 

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