コレステロールの新治療指針 2002年10月


 血液中のコレステロールは、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロール、善玉と呼ばれるHDLコレステロール、およびレムナントなどと呼ばれるその他のコレステロールの3種類に分類されます。このうちLDLコレステロールは酸化などの変化を受けることで、動脈壁にどんどんと沈着し、このことが動脈壁での炎症の原因となり、その結果、動脈硬化をもたらします。また、レムナントコレステロールも動脈壁に沈着し動脈硬化の原因となります。一方、HDL(善玉)コレステロールは動脈などの様々な組織から血液中に戻ってきたコレステロールと考えられていて、普通は動脈硬化の原因となることはありません。

 心筋梗塞などの動脈硬化による疾患は、血液中のLDLコレステロールやレムナントコレステロールだけが原因ではなく、喫煙、高血圧、糖尿病、体質、加齢なども原因となります。したがって、コレステロールの治療指針は、患者さん一人一人についてコレステロール以外のこれらの原因(危険因子)がどうであるかを考慮した上で決定しなければなりません。本年7月、これらを重視し、また、日本人の実際の臨床データを参考にした新しい治療指針が日本動脈硬化学会から発表されました。若い方で、喫煙や糖尿病、高血圧などの他の危険因子が全くない方では、LDLコレステロールが少し高くても心配ないとされています。一方、実際に動脈硬化が進行し、心筋梗塞などになってしまった方では、再発を防ぐためにLDLコレステロールをきわめて低い値に維持しなければならないとされています。また、高血圧などの危険因子についても厳重に治療する必要があることも強調されています。なお、動脈硬化学会、糖尿病学会、高血圧学会は3学会合同でシンポジウムなどを開催し、心筋梗塞などの動脈硬化症予防のため、啓蒙活動を行っています。このリンクに今回の改訂版の概要を示しました。

新治療指針(ガイドライン2002) 
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