母体の喫煙で児の糖尿病が増加 2002年1月)

 

喫煙は本人や周囲の人々に対して、さまざまな悪影響を及ぼすことが知られています。母体の喫煙は、流産や、生まれてくる子供の先天異常の頻度を増すことが知られています。このたび、母体が喫煙することで、生まれてくる子供が成人してから発症する2型糖尿病や肥満の頻度も増加することが判明しました。また、本人自身も早期に喫煙を開始することで、成人後の2型糖尿病発症の危険性が増すことも分かりました。 (British Medical Journal 2002/1/2)

 

英国で1958年3月3日から9日の間に生まれた人17000人を追跡調査した研究です。出生時に本人および母親に対して調査が行われ、その後、7歳時、16歳時および33歳時(2001年)に追跡調査が行われました。対象者の中で16歳から33歳までの間に28人の対象者が糖尿病を発症していました。母親が妊娠中に喫煙していなかった3430例では子供の糖尿病発症は12例に過ぎませんでしたが、母親が妊娠中に喫煙していた1487例では子の糖尿病発症は16例と増加していました。また、母体の喫煙量の増加とともに子の糖尿病発症の危険度が増し、1日10本以上のヘビースモーカーから生まれてくる子供は糖尿病発症の危険度が4倍に増加することが分かりました。また、喫煙母体から生まれる子の肥満発症の危険度は1.3〜1.4倍程度に増えることも分かりました。子本人の早期(16歳時)喫煙は、その後の糖尿病発症の危険性を増加させ、1日30本以上の喫煙で、成人後の糖尿病発症が3.6倍に増加することが分かりました。

 

母体が妊娠中に喫煙することが胎児に重大な変化をもたらし、成人後の糖尿病発症にまで悪影響を及ぼすことを証明した研究です。流産や出生時にすぐ分かる異常以外にも、20〜30年以上も経過してから悪影響が目に見える形であらわれるとは……、喫煙がいかに恐ろしいものであるかを実感させられる報告です。

 

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