生活習慣の改善で糖尿病予防 2002年2月)

 

中高年者の10%程度がおちいる糖尿病は、わが国を含む、世界中の国々の国民病となっています。このたび、糖尿病予備軍3243名を対象に、生活習慣の改善や糖尿病治療薬メトフォルミンの服用で糖尿病発症が予防できるかどうか検討した米国の研究が報告されました。 (New England Journal of Medicine 2002/2/7)

 

対象は様々な人種を含む平均年齢51歳の米国在住男女3234人で、平均BMI34.0と肥満があり、血糖値が正常と糖尿病の境界域にある(平均空腹時血糖106.5、平均食後血糖164.6、平均HbA1c5.9%)人たちです。これらの対象者を無作為に、@食事内容の改善により、体重を7%減少させ、また、1週間に150分間以上速歩などの運動をするという生活習慣の改善をめざすグループ、Aメトフォルミンという糖尿病治療薬を服用するグループ、B特に何もしないグループの3群に分け、1.8から4.6年間(平均2.8年間)経過を観察しました。その結果、Bの放置群では1年間に100人あたり11.0人が糖尿病を発症しましたが、Aの服薬群では7.8人、@の生活習慣改善群では4.8人が発症したに過ぎませんでした。すなわち、生活習慣の改善により糖尿病発症を58%、また、服薬により31%減らすことができたことになります。また、これらの効果は男女、人種にかかわらず認められました。

 

今回の研究でも、生活習慣の改善により2型糖尿病の発症を予防できることが証明されました。また、糖尿病治療薬の服用が糖尿病発症の予防に有効であることは、この研究で初めて示されました。しかしながら、服薬による糖尿病予防効果は生活習慣改善による効果には及ばず、また、この薬に多く認められる胃腸の副作用も服用者の77.8%に認められました(服用を中止するほどの副作用ではなかったとのことです)。なお、今回の研究に用いられたメトフォルミンの服用量は、わが国で糖尿病治療目的に用いられている服用量の2.3倍にあたります。

 

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