魚油と突然死 (2002年4月)

 

 

EPAやDHAなどの魚油成分が、不整脈の発生に対して抑制的に作用することが実験的に確かめられています。今回、米国での追跡調査の結果、血液中の魚油成分が多い人ほど、心臓突然死になる確率が低いことが分かりました。New Engl J Med 346:1113-8,2002.

 

研究は米国の男性医師約22000人を対象としたもので、最長17年間の追跡調査によるものです。調査期間中に心臓突然死を起こした対象者94人につき、調査開始時に採血してあった血液中の魚油成分を測定しました。魚油成分の量により対象者を4つのグループに分け、心臓突然死の発症率を調べたところ、魚油量が最も少なかったグループに比べ、魚油量が最も多かったグループ(最低グループの1.9倍の魚油量)では発症率が19%、2番目に多かったグループでは28%と大幅な低下が認められました。

 

この研究では調査開始時の血液検査が行われたのみで、その後、突然死にいたるまで血液中の魚油成分量がどのように推移したかは分かりません。しかし、調査開始時の血液の状態が調査期間中にも続いていたと仮定すると、魚油量と心臓突然死の間には重要な関係があると考えざるを得ません。同じ米国男性医師を対象とした他の解析により、血液中の魚油量や魚の摂取量は、心筋梗塞自体の発症率とは無関係であることが示されています。これらの研究から魚油成分は心筋梗塞発症後の不整脈の発生を抑制するなどして、心臓突然死の減少と関連している可能性が考えられます。

 

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