2型糖尿病 2題 2001年9月

 

1 運動の効果

 

運動が糖尿病の治療にとって重要であることはよく知られていますが、実際に運動がどの程度の効果をもたらすかに関して、信頼にたるデータはそれほど多くあるわけではありません。このたび、カナダの研究者らが2000年末までに世界中から報告された運動療法の長期的効果に関する14個の代表的な論文(大阪市大医学部からの論文も含む)をまとめて解析した結果を報告しました。(米国医師会医学雑誌2001年9月12日号)その結果、定期的な運動により平均的にHbA1Cは8.31から7.65%にまで低下することが判明しました。しかし、この運動療法は体重に対しては明らかな効果を示さないこともわかりました。結論として、運動によって体重が減少しなくてもHbA1Cで代表される糖尿病のコントロール状態は改善すると考えられました。

 

2 2型糖尿病の予防

 

1)肥満、2)運動不足や3)食物繊維の不足、砂糖などの甘いものの摂りすぎ、不飽和脂肪酸の不足、古い植物油の過剰摂取などの食事要因、および、4)喫煙が糖尿病発症の危険性を増し、5)少量のアルコール摂取はその危険性を減少させることが知られています。このたび、これらの食事およびライフスタイルが実際にどの程度2型糖尿病の発症に影響するかを全米の看護婦約85,000人を16年間追跡することで明らかにする研究結果が報告されました。それによると、体重減少、定期的運動、食事の注意、禁煙および少量(缶ビール1本程度)のアルコール摂取により2型糖尿病発症の90%を予防することができるとのことです。なかでも、体重のコントロールが糖尿病発症予防に関して最も重要であることが判明しました。(New England Journal of Medicine 2001/09/13)

 

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