糖尿病の予防 2001年5月

 

2型糖尿病は生活習慣病の代表ですが、発症には生活習慣だけではなく、遺伝的な素因も関係しています。今回、糖尿病予備軍(境界型耐糖能異常)の人に対して、生活習慣の改善を行うことで、どの程度2型糖尿病発症を予防できるかという研究が行われました。

 

フィンランドで522人の糖尿病予備軍の人を二つのグループに分け、片方のグループに減量、脂肪摂取量を減らし、食物繊維を多くとること、野菜や果物を積極的にとること、1日30分以上中程度の運動をすることなどを指導し、実際に各人が食べた食事の記録をもとに栄養士が年4回個別指導しました。また、運動トレーニングセンターも無料で利用できるようにしました(実際、50-85%の対象者が利用しました)。もう一方のグループも、倫理的観点から、放置することはせず、年に一回これらの指導を行いました。参加者は年に一度、詳しい血液検査を受けました。指導開始1年後には頻回に指導を受けたグループでは体重が平均4.2キログラム減少しましたが、そうでないグループでは0.8キログラム減っただけでした。その後4年間の研究期間中、詳しい指導を受けたグループでは11%の人が2型糖尿病になりましたが、そうでないグループでは23%の人が2型糖尿病になりました。詳しい指導を受けたグループの中でも、減量、脂肪摂取を減らすこと、運動などの目標を多く達成することができた人ほど糖尿病になりにくかったとのことです。 (The New England Journal of Medicine, May 3, 2001)

 

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