魚介類の摂取と脳卒中(2001年4月)

 米国の看護婦さん約80,000人を14年間追跡調査し、魚介類の摂取量とさまざまなタイプの脳卒中の発症率との関係を調査した結果が報告されました。(Journal of American Medical Association 2001年1月17日号)



 単に全魚介類の摂取量調査だけでなく、魚介類を1)サバ、鮭、いわしなどの青魚、2)マグロの缶詰、3)その他の魚、4)海老、ホタテガイ貝柱などの4種類に分類し、これらの魚介類に含まれるEPAやDHAなどのオメガ3系脂肪酸の摂取量によって各種の脳卒中発症率が異なるかどうかも調査しました。調査開始時(1980年)、対象となった米国女性(30-55歳)では、魚介類を週に1回食べる人が一番多く、次いで、月に1-3回、週に2-4回、月に1回以下、週に5回以上の頻度で摂取するとうい状況でした。(わが国の状況とは異なります)14年間の内に、303件の脳梗塞(264件の脳血栓、39件の脳塞栓)、119件のくも膜下出血、62件の脳内出血、90件の未分類脳卒中が発症しました。このうち、魚介類の摂取量と統計学的に意味のある関係があったのは脳血栓で、月に1回以下の魚介類摂取者の脳血栓発症率を1とすると、月に1-3回では0.77、週に1回では0.61、週に2-4回では0.52、週に5回以上では0.3の発症率でした。また、オメガ3系の脂肪酸摂取量で分類すると、細かな脳動脈の脳血栓であるラクナ梗塞で、オメガ3系の脂肪酸摂取量の増加とともにラクナ梗塞の発症が低下しました。一方、くも膜下出血および脳内出血の発症頻度は、魚介類の摂取量やオメガ3系の脂肪酸摂取量とは無関係でした。なお、魚介類を多く摂取する人は、かしわ(鶏肉)、果物、野菜の摂取量も多く、逆に、肉の摂取量はやや少ない傾向がありましたが、統計学的解析は、これらその他の食品等による影響を除外する方法で行われました。ちなみに、週2-4回魚介類を摂取する人は同程度の頻度で肉を(つまり、1日おきに肉と魚介類を交互に)摂取、週5回以上魚介類を摂取する人は肉を2.5日に1回摂取するということでした。


 今回の調査では、魚介類や魚介類に含まれるオメガ3系の脂肪酸の摂取量が多いほど、脳血栓の発症率が下がることが示されました。さまざまな食品の摂取量がわが国とは異なる米国での調査ですが、ほぼ毎日魚介類を摂取する人が脳血栓に関しては発症率が一番少ないということです。

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